それぞれの聖誕祭(クリスマス)〜憧憬外伝〜

「・・・先生の嘘吐き。」
揺れるキャンドルを見ながらため息が出る。
今年のクリスマスは一緒だって言ったのに。
「・・・忘年会なんて・・行かなくたって死なないわよ・・。」
せっかくこのキャンドルだって凝って選んだのに。
自分の部屋で灯す羽目になるなんて。
時計をちらりと見ると11時55分。
「・・あと・・5分でイヴが終わっちゃう・・・。」
・・・あれから8年・・。
もう・・8年・・・。
「唯ちゃん・・元気かな・・。」
唯も弘毅も遠く離れた大学に進んだ。
自分は当然のように近くの短大を選んだ。
理由なんて一つしかない。
隆の傍にいたかったから。
「・・・なのにさ・・・。」
ふてくされて机に突っ伏したからって隆が来るわけでもない。
教員と言うのは生徒が休みに入っても当直があるし、結構あれで付き合いもある。
思ったよりもデートの時間が取れないからこそクリスマスぐらい・・・。
梓がそう思ったとしても何の罪がないことだった。
窓の外をぼんやりと見る。
白いものが舞い降り始めたそこは、孤独な夜の世界。
「ホワイトクリスマス・・かぁ・・・。」
再び突っ伏して瞳を閉じた。
「先生のばぁか・・・。」
〜〜〜♪〜〜〜〜♪
「あ・・・。」
派手なライトイルミネーションと共に携帯電話から聞きなれた着信音が流れる。
たった一人指定してある着信音。
梓は慌てて携帯を手にとった。
「先生っ!?」
『よ。メリークリスマス。』
「メリークリスマス・・。」
時計を見れば12時丁度。
気にかけてて・・くれたんだろうか。
胸が苦しくなって大きく深呼吸したところに聞きなれた声が続いた。
『今日・・もう、昨日か。ごめんな。忘年会はどうしても断れなくってさ。』
「ん・・いい。」
さっきまであんなにブルーだったのに、それが嘘のように今は気持ちが暖かかった。
覚えててくれただけで、こんなに嬉しい。
「せんせ・・・。」
『今から、出られるか?』
「え・・?」
家族は寝静まっている。
弟はまだ帰ってきてないけど、問題はないだろうと思う。
「ん・・大丈夫。」
『じゃあ、おいで。』
「え?おいでってどこに・・・先生?」
電話は唐突に切れた。
「もう・・・どこに行けって言うのよ・・。」
家・・かな・・。
「肝心なことは、言わないんだから・・。」
唇を尖らせつつも顔は緩む。梓はゆっくりと立ち上がると、いそいそと服を着替え始めた。

「よ。」
家から出ると、そこに見慣れた人物が立っていた。
黒いコート。黒いマフラー。
革靴。梓が誕生日にあげたGショック。
「先生・・。」
驚きに呆然とする梓に歩み寄るとその肩に柔らかく大きな手が伸びた。
忘年会の帰りから直行したのか、わずかに酒臭い息が白く染まっている。体温もいつもより高いかもしれない。
「お酒臭い・・。」
正直な梓にたははとばつが悪そうに笑うと隆は梓を連れて歩き出した。
「何とか会いたかったからさ・・。だから、車じゃないだろ?」
「・・そだね。」
こういうまじめさが好きだった。
思わず笑みが漏れる。
「行こうか。」
「うん。」
硬い雪がぼた雪に変わる中。
二人は肩を寄せ合って歩き始めた。

「せんせ・・・。」
セーターの下からもぐりこむ手に息が上がる。
もう、何回も繰り返された行為だと言うのに。何度繰り返しても鼓動が苦しくて、慣れることができない。
「・・んも・・・。」
「ん?なんだ?」
滑らかな肌からセーターを取り去り胸元に唇を寄せながらわずかに漏れ聞こえた言葉を梓に問い返す。
「8年も・・いっしょなのに・・・。」
「・・いっしょなのに・・・?」
「・・ぁ・・。」
軽く吸って白い肌に跡を残していく。何度触れても、敏感に身を捩じらせる少女。飽きることなく貪るように肌に舌を這わせながらそっと清楚なデザインのブラジャーを外していく。
「好き・・。怖いくらい・・好きなの・・。先生といることに・・慣れない・・。」
「梓・・。」
きゅんと胸を突き上げる何か。その熱い衝動に突き動かされるままに梓の唇を奪い、舌を絡めた。
ちゅ・・ちゅく・・・ちゅ・・・
「ん・・ぁ・・・。」
あの頃よりも育って手のひらからはみ出しそうな胸を揉みしだくと掌の下で硬くとがる先端が自己主張をはじめた。
「好きだ・・。」
若い硬さを残した乳房をやわやわと捏ねながら硬くとがった乳首を吸い上げる。ちゅっちゅっと赤子のように、時に強く、時に弱く。そうしながらぺろぺろと舐めると梓の背が仰け反って眉がしなる。
仰け反って浮き上がった背中を指で軽く辿るとすすり泣くような声をあげて梓が首を振る。
「ぁ・・ん・あん・・先生・・・・」
「梓・・。」
熱い吐息。かすれながら交差する呼び声。
ちらりとベッドの脇を見ると開けられた包みから手編みのセーターがわずかに姿を覗かせていた。
梓は元来そう器用なほうじゃない。会えない時間に一生懸命編んでいたに違いなかった。
いかにも女の子らしい恋心。
梓のそんなところが隆は愛しかった。
乳首を唇にはさんで舌でちろちろ舐めながらスカートに手をかける。
「ああ・・・先生・・・。」
恥ずかしがって身を捩るのも決して変わることはない。
大胆なくせにどこか恥ずかしがりやな梓はこういうときは少し強引なほうが好きらしい。
「いやじゃないだろ?」
耳元で囁いて返事も待たずにスカートを引き下げると恥ずかしがりながらも梓は頷く。スカートの下から覗いたシンプルなピンクのショーツは、すでにじっとりとしみになっていた。
「梓・・濡れてる。」
くすくすと笑みを含みながら耳元で囁くと梓の頬の温度が上がった。
「先生の馬鹿・・。」
すねたようなその口調に胸を締め付けられそうになりながらも笑みは崩さない。
「馬鹿で結構。俺は梓にいかれてるからな。」
恥ずかしげもなく言うと梓の顔がさらに赤くなる。
そんな梓の顔を見ながらショーツに手をかけると、いつものごとく腰が浮く。隆がショーツを下ろすのを手伝っているのだ。
「梓・・。好きだよ・・。」
「せんせ・・・あ・・ああんっ!」
股を割り開くと露わになるしっとりと潤った襞に隆は唇を寄せた。
じゅ・・じゅるっ!
「ひああっ・・あ・・あん・・。」
勢いよく愛液を吸い上げられて梓の体がびくびくと震え、思い切り仰け反る。
吸い取ったはずなのにさらに溢れてくるそれを舌に絡ませると今度は梓の弱点でもあるクリトリスに舌を伸ばした。
「ん・・せんせ・・・ふあ・・・い・・ああん・・・」
意味不明な喘ぎがひたすら梓の唇から漏れる。白く細い指を噛み、声を堪えようとしながらもその努力は快楽の前に徒労に終わっているようだ。
「んあ・・ああ・・。」
ぴちゃぴちゃと音を立てながら梓の愛液をなめすすり、膣に舌を押し込んでいく。溢れる液をまぶすように擦り付けるととうに硬くなったクリトリスがさらに大きさを増して腰を震わせる。
「せんせ・・先生のも・・あん・・・お願い・・。」
「はっきり言わないとわからんぞ。」
梓の言いたいことなどわからないはずがない。だけど意地悪にそういうと膣からの蜜の量が際限なく増えるのだ。
「ん・・・梓に・・先生のおちんちん・・食べさせてぇ・・。」
すでに頭はいい具合にとろけているらしい。戸惑いもなくそういう梓に隆はくすりと笑った。
恥じらいながらもこの淫らさがいい。
「じゃあ、梓、俺の上に乗って。わかるね?」
「あ・・・。」
恥じらいながらもこくりと頷いて隆の顔の上に跨る。いたずらに太腿を舐めると小さな悲鳴をあげてその腰が戦慄いた。
「梓。全部見えてるよ?」
「やだぁ・・。」
恥ずかしげに言いながら梓が上半身を倒したのがわかった。やがて、ズボンの前がくつろげられて硬くいきり立った自身に熱い吐息がかかる。
「先生の・・おっきい・・。」
うっとりと呟いたかと思うとやがて、ぴちゃりと濡れた感覚が先端に伝わり、そこから暖かく濡れた感触が全体を包み込むのがわかった。指が口に入りきらない根元を扱き上げている。
「く・・梓・・。」
思わず漏れそうになるうめき声を何とか押さえて目の前で蜜を滴らせている梓の秘裂を舌で割った。
「あ・・ああん・・。」
男根を咥えたままの梓の唇からくぐもった悲鳴が漏れる。それに調子付いて隆は梓の膣に指を潜り込ませると、ぐちょぐちょとかき回し始めた。
「ん・・んぁ・・・あ・・ふ・・・むん・・・。」
快感に負けまいとするかのように梓の唇を上下させる動きが速くなる。こちらももっと感じさせようと突き入れた指でかき混ぜながら梓のクリトリスを吸い上げた。
「ん・・むぅっ!」
びくんと腰が跳ね上がるのを片腕を腰に巻きつけて押さえつけながら愛撫を続ける。指が痛いぐらいに締め上げられ、ぐちゅぐちゅと巻き混ぜられるそこから白濁した蜜があふれ出ていた。それはクリトリスを吸う隆の顎を伝い、首筋を汚していく。
以前はこの段階ですでに咥えていられなくなるのだが、最近はかなり粘るようになってきていてまだ隆は梓の唇の中だ。
その梓の後ろの窄まりに空いた手をそっと這わせるとブルっと梓の背中が震えた。
「ん・・せんせ・・そこ・・は・・はう・・・。」
思わず腰が浮きそうになるのをかき混ぜる指の動きで押さえながら浅く人差し指を梓のアナルに埋め込んだ。
「あ・・ああっ・・せんせ・・だめ・・そこは・・ぁん・・・・」
舌足らずな悲鳴が梓の唇から漏れ、ついに梓の唇から隆自身が外れる。己の上でうねる梓の裸身を感じながら隆は梓の秘裂を舐め啜り、クリトリスを摘んで擦りあげる。膣に潜り込ませては指を曲げて襞を擦り、締め付ける膣に逆らって指を突き入れた。
「せんせ・・あ・・だめ・・だめだよぉ・・・。」
すすり泣くような梓の声が耳朶を打つ。己の頭を跨いだ太腿が小刻みに震え、限界が近いことを示していた。
「梓・・いいよ。いっちゃえ。」
ぐちゅ・・・ずりゅ・・じゅ・・ずちゅう・・・・れろれろ・・・ちゅううっ
「そ・・んな・・・あ・・ああん・・あん・・・ぁ・・ああっ!」
隆に導かれるまま、梓は身を震わせて絶頂へと達した。脱力する梓を抱きとめ、体の下に押し倒すとそのまま何も言わずに男根をつきたてた。
「あ・・ああうっ!!」
いったばかりの襞は敏感で、激しく隆を締め付ける。ぴったりと寄り添う襞からうねりが生じ、幾重もの波を生んで包み込みながらぎちぎちと締め付けた。
「あ・・梓・・・。」
「ぁん・・・せん・・せ・・・いい・・あ・・はう・・いいよぉ・・・。」
すすり泣くような喘ぎ。
潤んだ瞳。
「ごめん・・梓・・今日は、余り持たない・・。」
唸るようにいうと隆の突き上げがより激しさを増した。
「あ・・先生・・私も・・もう・・・あ・・ああ・・・。」
締め付けて逃すまいとする襞からもぎ取るように己を引き抜いては突き入れることの繰り返し。愛しさとは別のところで凶暴なまでの欲望が梓の中を完膚なきまでに犯し尽くそうとしていた。
「梓・・梓・・っ!!」
「あ・・せん・・せ・・・あ・・・ああああっ!!!」
梓の体が絶頂に震えた刹那。隆は白濁を梓の白い腹の上に吐き出していた。

「雪・・積もるかな・・・。」
梓の呟きに腕枕をしたまま隆は窓の外を眺めやった。
雪はまだ降り続いている。激しくはなく、穏やかに、舞うように。
「さあ・・。積もらないかもなあ・・。」
「そっか・・・。」
少し残念そうな梓にくすりと笑って軽く口付けると隆は半身を起こした。
「そう言えば・・俺のクリスマスプレゼントはまだ、あげてなかったよな?」
「あ・・・うん・・。」
『頂戴』なんて言えないから忘れてるんだと思っていた。
「もしかして・・あるの・・?」
驚いたようにやはり身を起こす梓をいたずらっぽく見てその頭をくしゃりと撫でる。
「俺が梓へのプレゼントを忘れるわけ、ないだろ?」
「ん・・そうだよね。」
今までイベントは遅れることがあっても絶対に忘れたりはしなかった。
そっか・・忘れてたわけじゃないんだ・・。
思わず綻ぶ顔を手で包んで梓は隆を見た。
「目をつぶって。」
「え?」
隆の申し出に思わずきょとんと見上げてしまう。
そんな梓をいたずらっぽい笑みで見て隆は再び言った。
「梓、目を閉じて。」
「あ・・うん・・。」
おとなしく瞳を閉じた梓を確認すると、ごそごそと奥から何かを取り出す。酷く大事なもののように手で包み込んで。
そうして梓の前に座ると、梓の左手をそっととった。
「梓、目を、開けてごらん?」
恐る恐る目を開けて、ぬくもりを感じる左手を見る。だけど、そこにはまだ何もなくてきょとんとする梓を隆はいたずらっぽい目で見た。
「・・先生・・?」
「『短大卒業したら、俺の嫁さんになってくれないか?』」
「・・え・・・・?」
一瞬何を言われたかわからないという顔の梓の左手の薬指に、小さなダイヤをあしらった指輪を嵌めていく。
「せん・・せ・・・?」
言葉よりも先に、梓の瞳から涙が溢れた。ぽろぽろと零れたそれは梓の肌を濡らしていく。
静かなくせに、答えを何よりも物語っていた。
「梓・・。」
ぽろぽろと泣きつづける梓をふわりと抱きしめる。その耳もとに、静かに囁いた。
「愛してる。・・答えはYes?」
「うん・・・うん・・・。」
ただ頷くだけの梓を隆はきつく抱きしめた。
「先生・・ほんとに・・・?」
「俺は嘘は言わないよ?」
髪を撫でながら穏やかな声であやすように。
「嬉しい・・。先生が、旦那様なのね。」
「そう。だからこれからは、『隆』って呼びなさい。」
いいね?と梓の顔を覗き込んで笑う隆に梓はくしゃくしゃな泣き顔で頷いた。

Happy Merry Cristmas!!
すべての人に・・。

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