アリジゴク

 ぐちゅ……ぐちゅ……ぬる……

「はぁ……はぁ……ふ……ん……」

 実際には声なんてそうそう出やしない。
 ただ、指がもたらす快楽を必死に追い求めるだけ。

 ぬるり……ちゅ……ぐちょ……

 ただ、そこに快楽がある。
 それだけ。
 溢れ出す快楽の証を指に塗りつけ、クリトリスになすりつけ。
 硬くなって震える肉の芽をただ、ひたすら責める。
 それが、手っ取り早いから。

「ん……ぁ……は……」

 セックスじゃないんだから。
 気分出して声なんか出してたら気が散ってしまう。
 気だるい快楽に、すぐに達しそうになる体。
 堪えるのはちょっと勿体無いと思うから。

 ぐちゅ……ぐちょ……ぐちょ……

 脳裏には何も浮かばない。
 過去のセックスも、理想のセックスも。
 考えれば、快楽から遠くなる。
 まるで獣の食事のように、ただ、ひたすら。

「あ……もう……」

 誰に言ってるわけでもなく。
 まるで確認のように。

「あ……ああっ……!」

 アタマ、マッシロ

「は……はぁ……はぁ……」

 ぐっしょりと濡れた指。
 ぬるぬるのショーツ。
 快楽に溺れた淫裂。
 ティッシュで拭って身を起こせば、背中に走る甘い疼き。

「あ……やば……」<

 少し、我慢して。
 やっぱり、我慢できなくて。

 ぐちゅ……ぐちゅ……

「あたし、なにやってんだろ……」

 どれだけやっても終わらない。
 どれだけいっても、満たされない。
 まるで、獣の食事のように。

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