大丈夫
『じゃあな。』
「・・・ん・・じゃあ・・・ね・・・。」
歯切れ悪い言葉。
電話の向こうで漏れる苦笑。
『なんだよ・・?』
「・・うん・・・。」
サミシイ。
とても簡単なはずのその単語はなかなか喉の奥に引っかかって出てこなかった。
でも、きっとわかる。
『・・明日。』
「・・え・・?」
『明日・・晴れるかな・・。』
どうだったろう・・?
天気予報・・。
チャンネルをあちこち変えながらふと気がついた。
「こっちで晴れててもそっちはわかんないじゃない。」
そう。
こんなにも遠くちゃ、こっちの天気予報なんて当てにならない。日本列島は長いのだ。
『そうなんだけどさ。』
そう。もう、一月も顔を見ていない。
それほど、遠い。
『だけど・・そっちの天気がよかったら・・お前の気分がいいだろ?だから、嬉しいなと思って。』
「・・・馬鹿・・・。」
泣けちゃうじゃない。
そんなこと言われたら、あと少し我慢できるかなって気になってしまう。
『来月、会えるから。晴れたらいいな。』
「ん・・そうだね・・。」
『浮気すんなよ?』
「・・ばーか・・・。」
会えたら・・・。
手を繋いで。
腕を組んで・・。
キスをして・・・。
それから・・・。
大丈夫。
そう思ったらたまらなく愛しくなるから。
大丈夫。